高血圧

高血圧は本態性(原発性)、続発性の2つに分けられます。
本態性は遺伝的素因やストレス、塩分や脂肪分の多い食生活が原因と考えられ、 続発性は腎臓病などの内分泌の病気、ピルなどのホルモン剤の服用などによって起こります。 初期には自覚症状はありませんが、次第にめまい、頭痛、耳鳴り、尿タンパクの増加、 眼底の動脈硬化といった症状が表れ始め、やがて脳卒中や心不全、腎不全などの合併症を 引き起こすのです。
続発性高血圧は原因となっている病気の治療が先決ですから、ここでは主に本態性項血圧について 解説します。

中医学では「高血圧」を3つの原因に分けて考えています。

中医学では「高血圧」を3つの原因に分けて考えています。

①瘀血=血液の循環障害
②陰虚陽亢=「陰(体液)」が不足して「陽」をコントロールできず、 体内に熱がこもってしまう(内熱)状態のこと。内熱は頭痛や顔面紅潮の原因になります。
③痰湿=塩分の多い食生活を続けていると、塩の成分であるナトリウムが血管内膜のむくみを 引き起こします。また必然的に水分を多く摂るようになり、体内に余分な水分がたまってしまいます。 これを痰湿と呼ぶのです。
痰湿にはもう一つ意味があります。脂っこいものを過食すると肥満になり、悪玉コレステロールが たまってしまいます。この悪玉コレステロールが血管の内側にドロドロと粥のように付着して 血流を妨げてしまう状態も痰湿と呼びます。
治療のポイントは
①活血化瘀=瘀血を改善します。代表的なお薬は冠元顆粒です。
②滋陰潜陽=「陰(体液)」を補うことにより、「陽」とのバランスをとります。
③化痰利湿=痰湿を取り除きます。

漢方治療は、いずれのタイプも冠元顆粒を中心に、体質にあったお薬を併用します。

漢方治療は、いずれのタイプも冠元顆粒を中心に、体質にあったお薬を併用します。

高血圧は、血圧を正常に戻すことが出来ても、合併症である動脈硬化は改善しにくいものです。
治療の目的は自覚症状の軽減や、脳出血などの予防と考えて、これ以上動脈硬化が進まない ように気長に治療する心構えが必要です。
①肝火上炎証 
脈が不安定、頭が張ったような痛み、めまい、イライラ、怒りっぽい、便秘、尿の量が少なく色が濃い、 目の充血、舌の色が赤く苔は黄色。
・竜胆瀉肝湯を併用します。
②肝腎陰虚証
のぼせ、目の乾燥感、腰や膝がだるく無力感、口の渇き、手足のほてり、 舌の色は赤く苔は少ないか全くない。
・杞菊地黄丸を併用します。
③陰陽両虚証
めまい、耳鳴り、のぼせ、寒がり、腰や膝がだるく無力感、頻尿、下肢の冷え、夢精、インポテンツ、 舌の色が赤く肥大して歯形がつく。
・八味地黄丸や牛車腎気丸などを併用します。
④風火痰/閉阻経絡
中風初期の半身の無力感、しびれ。
・牛黄清心丸と黄連解毒湯を併用します。
⑤気虚血瘀証
血圧の下限値が高い、めまい、息切れ、倦怠感、無力感、何もしないのに汗が出る、半身不随、 舌の色は暗紫色
・補陽還五湯を併用します
⑥痰湿証
めまい、倦怠感、肥満、高脂血症、下肢が重く無力感、頭重、胸と胃の辺りが苦しい、口の中が粘る、 舌の苔が厚い。
⑦衝任失調証
血圧が不安定、更年期障害、動悸、頭痛、午後になると熱っぽい、めまい、のぼせ、手足のほてり、 汗かき、下の色が赤く苔は少ない。
・瀉火補腎丸、滋陰降火湯などを併用します。


これらはほんの一例です。他にもたくさんの処方があり、使うお薬はその方の体質に合わせて選びます。メール相談をご希望の方は問診表にお入りください