不眠症

ストレスの多い現代社会では「眠れない・動悸や不安感がある」といった症状を訴える人が 増えています。
一口に不眠と言っても、原因も症状もさまざまです。 心筋梗塞などの疾患やうつ病の前兆が不眠の原因になっていることもあるので、 このような場合は病院の検診を受けて、病気を治療することが大切です。
しかし、不眠や動悸、不安感などの症状は、ストレスや過労、偏食や過食といった不摂生な 食生活が原因の場合も多く、この場合は食事や中医学で治療することができます。
中医学では「なかなか寝付けない、眠りが浅い、熟睡感がない」といった睡眠がうまくとれない 状態を「心」の失調と考えています。
中医学でいう「心」は、心臓の循環機能だけでなく、喜怒哀楽といった心の動きや 自律神経などの精神神経活動も含まれます。
不眠や動悸、不安感といった同じ症状でも、その人の体質や年齢などによって治療薬も 変わってきますから、まず自分の体質と、何が原因になっているかを知ることが大切です。

①肝気鬱結(かんきうっけつ)タイプ

①肝気鬱結(かんきうっけつ)タイプ

精神的なストレスがたまったことが原因で、血液の流量を調節する「肝」を機能させる 気(エネルギー)が停滞し、「心」に栄養が行かなくなった状態。神経質な人や、 更年期でイライラしやすい人に多く見られます。

主な症状
イライラ、怒りっぽい、腹部の膨張感、ため息、のどのつまり感、乳房の張りやしこり、 月経痛や月経不順など。
改善方法:肝の疏泄をよくして、気の流れをスムースにする。
漢方薬
・「星火逍遙丸」
・のぼせを伴う時は「加味逍遙散」
・興奮状態にある心に作用して精神を安定させる「酸棗仁湯」
・自律神経の緊張を鎮静する「柴胡加竜骨牡蠣湯」など。

②痰熱上擾(たんねつじょうじょう)タイプ

②痰熱上擾(たんねつじょうじょう)タイプ

暴飲暴食などが原因で栄養過剰になり、余分な水分と熱が余った状態。慢性病や、 精神安定剤を長期服用している方にも多く見られます。

主な症状:胸のもたれ、吐き気、めまい、頭が重く、つまった感じ、黄色い痰が出るなど
改善方法:体にこもった熱を冷まし、停滞した水分を代謝して取り除く。
漢方薬
「温胆湯」

③心脾両虚(しんぴりょうきょ)タイプ

③心脾両虚(しんぴりょうきょ)タイプ

もともと胃腸が弱い体質で、消化機能が低下しているため、「心」を養う栄養が不足したタイプ。 虚弱体質や少食傾向で痩せ型の人、または若い女性に多く見られます。

主な症状:食欲不振、軟便、疲労倦怠感、アザが出来やすい、低血圧、貧血、生理不順など。
改善方法:機能が低下している胃腸の働きを高め、「心」に栄養を補う。
漢方薬
「帰脾錠」

④心腎陰虚(しんじんいんきょ)タイプ

④心腎陰虚(しんじんいんきょ)タイプ

ストレスや老化、慢性病などが原因で、生命の源である腎の陰(体液)が不足した状態。
陰陽のバランスが崩れて、機能亢進状態になったタイプ。虚弱体質や少食傾向で痩せ型の人、 更年期に入った中年以降の女性や老人に多く見られます。

主な症状:腰痛、のぼせ、手足のほてり、のどの乾き、寝汗、早漏、経血量の減少など。
改善方法:消耗した腎の陰(体液)を補い、陰陽バランスを改善する。
漢方薬
「天王補心丹」


これらはほんの一例です。他にもたくさんの処方があり、使うお薬はその方の体質に合わせて選びます。 メール相談をご希望の方は問診表にお入りください