『腹痛・胃痛』から考えられる病気

下記載項目にて病気・症状などの情報がご覧になれます。

腹部大動脈瘤・尿管結石

腹部大動脈瘤・尿管結石

腹部大動脈瘤
腹部大動脈瘤とは、腹部の大動脈の一部が直径3cm以上になった状態です。
特に5cm以上になると、血管が破裂する可能性が高まるため、非常に危険です。 破裂した場合には緊急手術となりますが、死亡率はとても高くなっています。
破裂する前には基本的に無症状であるため、検査で発見されます。 腹部エコー、CT、MRIなどを用います。 万一、動脈瘤が見つかった場合には、年々拡張する可能性が高いため、 厳重な経過観察が必要です。
<症状>
腹痛、腰痛。出血によるショック。多くの場合は無症状。
65歳以上、男性、喫煙者、動脈硬化の方に多い。

尿管結石
尿管結石とは、腎臓にできたカルシウムや尿酸の結石が下りてきて、 尿管をふさぐ病気です。ほとんどが片側のみに起こります。 結石が尿管をふさぐと、尿が腎臓から出られなくなるため、激しい痛みを生じさせます。
症状が出ても、多くの場合、自然に治癒します。ただし特別に大きな結石の場合は、
ESWL(対外衝撃波結石破砕術)で砕いたり、内視鏡を用いて除去したりします。
完治したあとでも一度尿管結石になった人は、尿へのカルシウムを増やさないために塩分や たんぱく質を制限し、水分摂取を増やすなどの対処することをオススメします
<症状>
わき腹の激しい痛み、冷や汗、吐き気、嘔吐。熱や下痢はない。

潰瘍性大腸炎・急性胆のう炎

潰瘍性大腸炎・急性胆のう炎

潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜に炎症や潰瘍ができる病気です。
症状がひどい時期と、症状がなくなり治ったように見える時期をくり返しながら慢性化し、 直腸から大腸全体の粘膜の浅いところに炎症が広がります。
大腸以外の消化管には炎症や潰瘍は起こりません。
10~20歳代の発病が多く、近年は増えつつある難病のひとつです。 原因は精神的ストレスや免疫異常などさまざまな説がありますが、まだはっきりとしていません。
<症状>
日に数回も便意を催し、頻繁にトイレに行きたくなる下痢。
粘液や血液混じりの下痢便、腹痛、トイレに行きたいけれどなかなか便が出ない。

急性胆のう炎
急性胆のう炎は、細菌による感染で胆のうに炎症が起こる病気です。
胆石と併せて起こることが多く、胆石が胆のう出口につまって発症します。
胆のう内に胆石があると胆のうに炎症を起こしやすく、胆のう炎の症状を起します。
胆石が胆のう管に詰まると黄疸などの症状を起こしたり、 胆管の炎症を起こすこともあります。抗生物質の点滴で治療を行います。 胆石がある場合は、胆石を取り除く手術を行います。
<症状>
発作的なみぞおち・右上腹部の痛み、寒気・ふるえ、吐き気、発熱、黄疸、40℃近い発熱。 右肩・右背部に痛みが放散する。

胆石症・急性すい炎

胆石症・急性すい炎

胆石症
胆石症とは、胆のう、総胆管、胆内胆管に胆石ができ、激しい腹痛発作等が 起きることがある病気です。ほとんどの場合は胆のう結石症です。 日本人の成人は約40~50%が胆石を持っているといわれています。 胆石は30~40歳代に多く、太った人、ストレスの多い人、デスクワークをしている人に多く、 男性より女性に多い疾患です。
原因としては、胆道の流れが悪くなって、胆のうの中に胆汁が溜まりやすくなったり、 炎症が起きたりすることです。この結果、胆汁の中の胆石をつくる成分が分離し、 胆道内で固まって胆石になります。
基本的には胆石を取り除く手術が行われますが、最近は体に負担をかけない内視鏡を使っての 手術や、体の外側から胆石を砕いてしまう方法など、様々な治療がなされています。
<症状>
発作のように突然起こる、激しく我慢できない腹部の痛み。
みぞおちから右上腹部、背中や肩などに痛みが広がることもある。 寒気、ふるえ、黄色い液を吐く、黄疸、白い便、40℃近い発熱、右上腹部のはれなども見られる。

急性すい炎
急性すい炎は、膵液中の消化酵素が膵臓自体を自己消化してしまうことで起こります。
ふつう膵臓から分泌される消化酵素は、十二指腸内で初めて活性化し、 ふだんはこれらの消化酵素が膵臓自体に作用することはないのですが、 なんらかの理由で消化酵素が膵臓内で活性化されると、膵臓自体が溶かされてしまいます。
原因の主なものは胆石症とアルコールの過剰摂取です。これ以外の原因では、 流行性耳下腺炎などのウイルス感染や腹部の強打、アレルギー、副甲状腺機能亢進などです。
早期に適切な治療をすれば、ほとんど治ります。原因が胆石症の場合は、症状が治まってから 胆石の手術を行うと再発防止に役立ちます。
アルコール過剰摂取が原因の場合は、禁酒が不可欠です。
<症状>
上腹部(特にみぞおち周辺)の突然の痛み、背部痛、発熱、吐き気、おう吐。
黄疸(おうだん)が見られることもある。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍
胃の粘膜がなんらかの原因で消化液に侵されて炎症を起こし、粘膜がただれたり欠損して 孔が開いた状態を胃潰瘍といいます。
基本的に単発の円形潰瘍が主で、治りやすいのですが何度も再発をくり返しやすいという 特徴を持っています。原因は、胃粘膜の状態を良好に保つ防御因子と、 胃酸やペプシンなど食物を消化するための酵素(攻撃因子)のバランスの崩れです。
発症の危険因子は、精神的・肉体的ストレスや体質、飲酒やコーヒー、喫煙などです。
近年ヘリコバクター・ピロリ菌が胃の中で発見され、潰瘍の病原因子であることも 分かってきています。
<症状>
上腹痛(夜間・空腹時)、胸やけ、吐き気、おう吐、吐血。

十二指腸潰瘍
十二指腸の粘膜がなんらかの原因で消化液に侵されて炎症を起こし、粘膜がただれたり欠損して 孔が開いた状態です。
潰瘍の発生場所が異なるだけで、胃潰瘍と同じ病気ですが、 十二指腸潰瘍は胃酸の果たす役割が大きく、胃酸の分泌が活発で過分泌の人が かかりやすい疾患です。
また十二指腸潰瘍は、胃潰瘍よりも治りやすいのですが、再発をくり返しやすく、 慢性化しやすい疾患でもあります。
急性十二指腸潰瘍の場合は、 消炎鎮痛薬や副腎皮質ホルモンなどの薬剤を服用します。
<症状>
激しいみぞおち痛(夜間・空腹時)、胸やけ、黒色のタールのような便。

胃炎(急性・慢性)・過敏性腸症候群

胃炎(急性・慢性)・過敏性腸症候群

胃炎(急性・慢性)
急性胃炎は、消化器の病気の中でもっとも多いもののひとつです。
胃壁の粘膜に急性の炎症やただれが起こり、腹痛などが起こります。 最近では、その原因としてヘリコバクター・ピロリという細菌の感染が注目されています。 発症すると胃の粘膜は赤く腫れ、ただれが見られます。
不規則な食事、暴飲暴食やアルコールの飲み過ぎやタバコの吸いすぎ、刺激物や香辛料の 取りすぎなどが原因となります。アスピリン、強心薬、鎮痛剤など薬物の影響、 精神的・肉体的ストレスなども原因になります。
また過労や睡眠不足など不規則な生活も誘因になります。
慢性胃炎は、胃の粘膜に慢性の炎症が認められる場合をいい、一般的には慢性の胃の 症状があっても、腫瘍やガンなど特別な病気のない胃の炎症を指します。
この病気には固有の症状がないのが特徴で、ほとんどすべての人にあるといわれるほど多い病気です。原因は急性、慢性によってさまざまでですが、年令を重ねるにつれて見られる一種の 加齢現象ともいわれています。また不規則な食事や不摂生をしている人にもよく見られます。
どちらの胃炎も不規則な生活を止め、食生活に注意して1日きちんと3食食べるようにします。 暴飲暴食や香辛料の使いすぎに気をつけます。
<症状>
胃の不快感、食後の膨満感、食欲不振、胸やけ、もたれ、むかつき、急な胃の不調、
みぞおちの圧迫感・痛み、吐き気、おう吐。

過敏性腸症候群
過敏性腸症候群は、慢性的に腹痛や便秘、下痢が続く便通異常が起こる病気です。
症状はしつこく続きますが、腸には特に病変はありません。 ビジネスマンをはじめ、更年期や若い女性、子どもにも増えています。
原因はさまざまな精神的負担が発病に関係するといわれ、そのストレスが原因となり、 腸の運動機能を調整している自律神経に乱れが生じると考えられています。
重要な仕事や対人関係の問題、転勤など環境の変化などの社会的トラブル、 家庭内のトラブルなど、本人にとって大きな事件にぶつかった時に起こります。
さらに過労や睡眠不足、風邪や体の冷え、不規則な食事などが誘因になることもあります。 神経質な人や自律神経の不安定な人に多く見られます。
過敏性腸症候群の便通異常は、下痢と便秘を交互にくり返すもの、 下痢主体、便秘主体の3タイプに分けられます。
<症状>
便通異常(便秘、下痢、便秘・下痢交替)、腹痛、腹部の不快感、膨満感、頭痛、
めまい、動悸、肩こり、不眠、手足のしびれ感、疲労感、不安感、異常発汗、
集中力低下、抑うつ、顔面の紅潮、イライラ。

急性虫垂炎(虫様突起炎)・腸炎(急性・慢性)

急性虫垂炎(虫様突起炎)・腸炎(急性・慢性)

急性虫垂炎(虫様突起炎)
急性虫垂炎は俗に「盲腸」といいますが、実は盲腸の先についている虫垂の急性の炎症です。 盲腸は右下腹部、大腸の下の方にある、大腸でもっとも太い部分です。 虫垂は盲腸の下端にある腸管の一部で、長さ7~8cm、ミミズのような形でぶらさがっている管です。 この虫垂に炎症が起こるのが虫垂炎で、10~20歳代に多く約80%を占めています。
原因ははっきりとは分かりません。しかし便が石のように硬くなる糞石、寄生虫、
ねじれなどの原因によって虫垂の入口が詰まり、血行障害が起こったところに大腸菌など 腸内細菌が侵入、感染して、急性の炎症が起こると考えられています。
<症状>
みぞおちやへその部分から痛みだし、次第に右下腹部へと移っていく急激な腹痛。
37℃台の軽い発熱、吐き気、おう吐、便通がない。

腸炎(急性・慢性)
腸炎とは、なんらかの理由で腸に炎症が起きた病気の総称です。 原因別に感染性のものと、その他の腸炎があります。
感染性のものは細菌やウイルスが原因で起こり、感染性でないものは食品アレルギーや食中毒、 抗生物質などの薬物、アルコールなどが原因となって起こります。
いちばん多いのがウイルスによる感染性で、おなかのカゼともいわれます。 軽症ならそのまま数日安静にして様子を見ますが、重症の場合は、抗生物質の点滴や 輸液の補給を行います。
<症状>
下腹の張った感じ、痛み、1日2~3回の場合から、多い時には20回くらいになる下痢。
お粥のようなゆるい便から水様便、色は黄色や緑色、粘液も混じる。
へその周囲にさしこむような痛み、鈍痛、腹がゴロゴロと鳴る。

腎盂腎炎

腎盂腎炎

腎盂腎炎
腎臓にある腎盂(じんう)、腎実質と腎杯が細菌感染によって炎症を起こす病気が腎盂腎炎です。 急性型と慢性型があります。
原因となる細菌はほとんどが大腸菌で、さらに緑膿菌、腸内球菌、ブドウ球菌などです。
細菌の侵入経路には、尿道、膀胱、尿管、腎盂とさかのぼって、腎臓の実質へいたる上行性感染や、 他の場所から血流に乗ってやってきた菌による血行性感染、リンパ管を経由するリンパ行性感染 があります。ほとんどの場合が上行性によるものです。
女性に多く見られますが、子どもや高齢男性の場合のほとんどが、 尿路の通過障害で順調な尿の流れが阻害される尿流障害によって起こります。
急性型は、症状が急なので、緊急に入院を要します。安静にして水分を補給し 尿量を増加させるとともに、原因菌に効果のある抗生物質を投与します。
前立腺肥大症など原因となっている病気がある場合は、その治療を優先します。


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