頭痛

気候が変動する季節の変わり目は、頭痛や腰痛、膝の痛みなど辛い症状が起こりやすい時期です。
これらの痛みは対症療法ではなかなか完治しません。 中医学では痛みを引き起こす原因を探り、個々の体質別で改善します。
中医学では痛みの原因を大きく二つに分けて考えています。 一つは体の流れる気と血のめぐりが悪くなっていること、 もう一つは慢性病や老化によって体の各機能が低下することによるものです。
気候(外邪)や食生活などの生活習慣によって気血の流れが滞ったために起こる痛みは、 実証タイプの「不通則痛」で、比較的強い痛みが特徴です。
また虚弱体質や老化、慢性病などが原因で栄養が行き渡らなくなり、 気血が不足したために起こる痛みは、虚証タイプの「不栄則痛」と呼ばれ、鈍い痛みが特徴です。
気血の流れ、臓器や臓腑、器官などをつなぐ道を「経絡」と呼びます。 この経絡上にあるのが、鍼や指圧などでおなじみのツボ(穴位)です。 経絡には「経脈」と「絡脈」がありますが、経絡の流れが悪くなると「痛み」が起こり、 絡脈の流れが滞ると「痺れ」が現れると考えられています。 中医学ではこうした痛みや痺れを「痺証」と呼んでいます。
人間の体は常に自然界の影響を受けています。気候の変化にうまく対応出来なくなると、 外的要因である外邪が経絡の流れを悪化させ、痛みや痺れを引き起こします。
外邪には「風・寒・暑・湿・燥・熱」の六つ(六淫)がありますが、痛みと関係があるのは 主に「風邪・寒邪・湿邪・熱邪」の四つです。
また老化や長期的な疾患、生活習慣などのよって、体の中に生じた内的原因である 「内風・内寒・内湿・内燥・内熱」の「内生五邪」も痛みや痺れの原因になります。

体質別頭痛の改善法

体質別頭痛の改善法

日本人の3人に1人が頭痛持ちと言われていますが、痛みが長引いたり、 経験が無いほどひどい場合は、脳腫瘍や脳血管障害などの深刻な病気も考えられるので 早めに病院で受診をしてください。
中医学では個々の症状や体質、生活習慣などから頭痛の原因を見極め、 頭痛を次の九つのタイプに分類しています。

外的原因

外的原因

「実症タイプ(急性)」
風寒タイプ
後頭部から後背部に至る痛みがあり、悪寒を伴う。
風邪を引いた時の頭痛と同様に寒さや体の冷えによって症状が悪化するのが特徴 治療=葛根湯や川芎茶調散など。

風湿タイプ
頭部全体に重だるい痛みがあり、梅雨時や雨の日など湿度の高い時期に発症しやすく、 症状が重くなる。
治療=藿香正気散など

風熱タイプ
特に頭頂部と前額部に痛みがあり、のぼせ、口の渇きなど、熱性の症状を伴うのが特徴 治療=銀翹散、天津感冒片など。

内的原因

内的原因

「実症タイプ(急性・慢性)」
肝火タイプ
頭が張ってズキズキする痛みがある。目の充血、顔のほてり、イライラするなどの症状を伴う。
治療=加味逍遙散、竜胆瀉肝湯など。

痰飲タイプ
頭に重い痛みがあり、肩こりや倦怠感、胃がもたれやすいなどの症状がある。
治療=半夏白朮天麻湯、藿香正気散など。

瘀血タイプ
痛む位置が決まっていて刺すような痛みがあり、長時間にわたって痛みが続く。肩こりがある。
治療=冠元顆粒、血府逐瘀丸、田七人参など。

内的原因

内的原因

「虚証タイプ(慢性)」
気血両虚タイプ
体力が低下している時や、疲れがたまったとき、生理後などに痛みが出やすい。
ふらつきやだるさ、顔色が白い、肌にハリが無くカサカサするなどの症状がある。
治療=十全大補湯、婦宝当帰膠など

陰虚陽亢タイプ
普通の痛みあるいは張るような痛みがあり、めまい、耳鳴り、のぼせやほてりがある。
治療=杞菊地黄丸、瀉火補腎丸、滋陰降火湯など。

腎精不足タイプ
頭痛の他に、足腰のだるさや耳鳴り、めまい、立ちくらみなどの症状があり、 中高年層によく見られるのが特徴。
治療=海馬補腎丸、参茸補血丸など


これらはほんの一例です。他にもたくさんの処方があり、使うお薬はその方の体質に合わせて選びます。メール相談をご希望の方は問診表にお入りください