貧血
貧血とは赤血球の数(ヘモグロビン)が少なくなることを言います。
血液は、スープの中に具が浮いているような状態と考えてください。
そのスープの部分を「血清(けっせい)、または血漿(けっしょう)」といい、
具の部分が「血球(けっきゅう)」といいます。
一般的に病院で調べられる血液一般検査(通称、血算 けっさん)が、具(血球)を調べる検査です。
具(血球)には 赤血球、白血球や血小板などがあります。
赤血球はからだに酸素を運ぶ働きをしています。これは赤血球に含まれるヘモグロビンという色素が、
酸素と結合しやすい性質を持っているからです。
貧血とはこの赤血球の数(ヘモグロビン量)が少なくなることを言います。
酸素を運ぶ赤血球が少ないので、からだ全体に酸素が行き届かないため「息切れ」や「疲れやすさ」
「だるさ」といった症状が現れます。
貧血の種類
貧血にはいくつかの種類があります。
1)鉄欠乏性貧血・・・・・体内の鉄分が不足して起こる
2)再生不良性貧・・・・・骨髄の造血幹細胞の働きが衰えて正常な血液が作れなくなってしまう。
3)失血性貧血・・・・・怪我などで大量に出血して起こる
4)悪性貧血・・・・・高齢者や胃を切除した人にみられ、ビタミンB12や葉酸(ようさん)が欠乏して起こる
5)溶血性貧血・・・・・赤血球が破壊されて起こる
この中でも女性の貧血の大部分を占めるのが、ヘモグロビンの材料となる鉄が不足して起こる
鉄欠乏性貧血です。
女性は毎月月経によって鉄分が失われるので、もともと貧血になりやすい
ものです。中学生や高校生ころの体が急激に成長する時期には、鉄分の供給が追いつかなくて
思春期貧血と呼ばれる貧血がよくみられます。
また、妊娠、出産、授乳などによっても鉄分が失われます。
それに加えてダイエットや食事の偏りからくる鉄不足です。
貧血の原因はこれらだけでなく、なんらかの病気で見えないところで慢性的な出血が
起きているために貧血になることもあります。
よくあるのは、子宮筋腫や子宮内膜症による月経過多、痔の出血、胃潰瘍や胃炎による
出血よって引き起こされる貧血です。
貧血には食事が大事
健康診断や人間ドックで貧血が見つかった人は、内科や婦人科でまず原因を調べてもらうことが
大事です。病気もなく、食事の偏りからくる軽い鉄欠乏性貧血とわかれば、まず食事を改善しましょう。
当然、ダイエットはお休みします。
栄養のバランスを考えて3食きちんと食べ、鉄分を多く含む食品を取り入れましょう。
レバー、肉、魚の血合い、うなぎ、ひじき、しじみ、大豆、緑黄色野菜などは鉄分を多く含む食品です。
鉄の吸収をよくするビタミンCも取るようにしましょう。
天然の良質なビタミンCを気軽に取れるサプリメントとして沙棘精(さーじせい)がオススメです。
漢方から見た貧血とは?
中医学では、貧血を血虚(けっきょ)の進んだ状態と考えます。
「血(ケツ)」の概念は西洋医学の血液と似ていますが、白血球や赤血球など区別はしませんし、
生成や循環などの考え方に違いがあります。
特に、血は全身に「栄養」を与え、「潤す」ことが重要な働きと考えます。血が充足していれば、
顔にほんのり赤みがあり 艶やかで、お肌のはりが保たれ、爪がきれいに生え、
毛髪に潤いと光沢があり、目もよく見える健康な状態になります。
逆に、血が不足した「血虚」の状態になると、顔は青白くまたは土色になる、乾燥肌、
髪に艶やコシがなくなる、スプーンネイル(爪の真ん中がへこんでスプーンのよう)になる、
爪が薄くなって割れやすくなる、目がおちこんでくる、すぐ疲れやすい、
体が重だるいなどの症状が現れます。
漢方の治療は「血(けつ)」を補うことを中心に改善していきます。
飲みやすく、血を補う力が優れた漢方薬に婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)があります。
当帰やなつめなど、血を補う生薬からできた液体のお薬です。これをお湯で割って飲むだけです。
夏場は冷水でもいいでしょう。血を全身に送ってやれるようになると、冷え性などからも解放されますよ。
また、「再生不良性貧血」と診断されたり、低血圧やひどい冷え性、元気がない、
足腰が疲れやすいなどの症状が有るときは、「血虚」のかなり進んだ状態と考えます。
このような人には参茸補血丸(さんじょうほけつがん)がオススメです。
このお薬は、黒くて丸いお団子のような漢方薬です。慣れるまでは、少し飲みにくいですが、
頑張って食べるように飲んでみてください。
これらはほんの一例です。他にもたくさんの処方があり、使うお薬はその方の体質に合わせて選びます。メール相談をご希望の方は問診表にお入りください