腰痛
頭痛や肩こりと並んで、国民病と言えるほど、腰痛に悩む人が増えています。
腰痛を伴う疾患には、ぎっくり腰や腰部椎間板ヘルニア、慢性関節リウマチ、坐骨神経痛、
骨粗しょう症などがあります。
腰部には、上半身と下半身を結ぶ経絡が集中しており、何らかの理由で経絡の流れが滞ると
痛みが生じると考えられています。
腰痛の原因には姿勢の悪さやケガなどの外傷、慢性病や老化による機能低下があります。
中医学では「腰は腎の府であり、腎の精気が注ぐ所である」と言われており、腰と関係の深い腎は、
生命エネルギーである「精」の源で、腎の機能が衰える(腎虚)と老化が進み、腰痛や骨粗しょう症も
起こりやすくなります。
また外的原因である「風・寒・湿・熱」の外邪のうち、湿邪には粘滞の性質があり、
特に腰部に痺着しやすいため、外邪による腰痛は湿邪との関係が深いのが特徴です。
中医学では腰痛の痛みの性質やその他の症状によって、次の4つのタイプに分類して治療します。
①寒湿腰痛
寒邪と湿邪が腰部に侵入して、経絡の流れを停滞させたタイプです。
腰部が冷たくて重だるい痛みがあり、寝返りを打ったり、向きを変えたり、自由に腰を動かせない。
徐々に悪化し慢性化しやすい。
安静に横になっていても、痛みが軽減しない。曇りや雨の日に悪化する
治療=散寒利湿・温経通絡
(患部を温めて冷えと停滞した湿を取り除き、経絡の流れをスムーズにする)
独活寄生湯、桂枝加苓朮附湯、薏苡仁湯など
②湿熱腰痛
湿邪と熱邪が腰部にたまり、経絡の気のめぐりが悪くなったタイプです。
腰部にうずくような痛みがあり、痛みのある患部に熱感やむくみがある。
尿の色が赤みを帯びた濃い黄色。特に湿度の高い暑い日や雨の日に疼痛が強くなる傾向にある。
治療=清熱利湿・舒筋止痛(腰部にたまった湿熱を取り除き、筋肉のこわばりをなくす)
越婢加朮湯、白虎加桂枝湯など
③瘀血腰痛
血行不良の瘀血が原因で、気血のめぐりが停滞したタイプです。
刺すような痛みがあり、痛む場所が常に一定している。軽症の場合は仰向けの姿勢になれない。
重症の場合は、腰を回したり寝返りを打ったり出来ない。
治療=活血化瘀・理気止痛(停滞している気血の流れをスムーズにし、痛みを取り除く)
冠元顆粒・疎経活血湯など
④腎虚腰痛
老化や慢性病、虚弱体質などが原因で、腎の機能が衰えたタイプです。
腎虚には陽虚と陰虚の二つのタイプがあります。
腰部がだるく、足腰に力が入らない。疲れると悪化し、横になったり、
マッサージしたりすると痛みが軽減する。
陽虚タイプの人は、顔色が青白い、息切れ、動悸、手足が冷たいなどの症状がある。
陰虚タイプの人は、耳鳴り、不眠、口の渇き、顔面紅潮(のぼせ)、手足のほてりなどがある。
治療
=陽虚・・・温補腎陽(体を温めて腎の陽気を補う)八味地黄丸、
牛車腎気丸、海馬補腎丸、独活寄生湯など
=陰虚・・・滋補腎虚(不足した陰液を補う)瀉火補腎丸、八仙丸など
これらはほんの一例です。他にもたくさんの処方があり、使うお薬はその方の体質に合わせて選びます。メール相談をご希望の方は問診表にお入りください