更年期障害

更年期のしたくについて。漢方の古典に女性は35歳になると次第に肌や髪が衰え始め、42歳で閉経するという記載があります。女性の身体は7年周期で変化し、その変化は「腎精」(腎に蓄えられた基本物質)と呼ぶものによってコントロールされています。
腎精が不足すると衰えが始まります。女性の場合は特に40代半ばから閉経に至るまで月経量が減ってきて、月経周期が短くなり、月経の出血の色が薄く、期間が短くなります。さらに閉経に近づくと月経周期が不規則になったりなかなか来なくなったりします。
40歳を過ぎたら、体の衰えの波を緩やかにして更年期に入っても更年期症状が少なく過ごせるように、また閉経が早まらないようにする準備が大切です。漢方では腎精と、腎精の前衛とも言える「血」を養う事で更年期に備えます。

冷えのぼせ

冷えのぼせ

下半身や足が冷えるのに顔や首がほてってのぼせやすいという症状は更年期の女性に最も多い訴えですが、若い女性にも見られます。 漢方では体内のアンバランスがある証拠として、主に2つのタイプが考えられます。

気滞気逆タイプ
いわば自律神経失調型です。イライラしやすい、感情の浮き沈みが激しいといった症状が目立ちます。お腹が張る、便がスッキリ出ない等の症状もよく表れます。このタイプの方には自律神経のバランスをととのえ、気の流れをスムーズにする漢方薬を使います。
<漢方薬の例>
逍遥丸、加味逍遥散など (体質によっては違う漢方薬を使う場合があります。)

瘀血阻滞タイプ
いわゆる血行不良型です。冷えのぼせの他に肩こりや頭痛、便秘などの症状も多く見られます。血行を改善し、血管の収縮、拡張のバランスを整える必要があります。
<漢方薬の例>
婦宝当帰 、冠元顆粒、通導散 など(体質によっては違う漢方薬を使う場合があります。)

情緒不安定

情緒不安定

気がつくとイライラして怒りっぽくなったり、クヨクヨうつうつしたり、漠然とした不安を感じたり、涙もろくなったり…更年期症状の一つとして感情の起伏が激しく不安定になる場合があります。漢方では、肝と腎の衰えから出る症状ととらえます。
「肝」は気持ちをのびやかに、穏やかにコントロールする働きと血液を蓄えてホルモンのバランスを維持する機能を持ちます。
「腎」は腎精(生命エネルギー)を蓄え、肝の働きを根っこから支えています。身体の衰えとアンバランスによる心の乱れを、同時に治す漢方薬を使います。

<漢方薬の例>
イライラタイプには天王補心丹など
クヨクヨタイプには心脾顆粒など
(体質によっては違う漢方薬を使う場合があります。)

*養生法としてシベリア人参茶やナツメ食べる事をおススメします

お肌のトラブル

お肌のトラブル

更年期にさしかかっている女性に多いのが、デリケートゾーンの肌トラブルです。西洋医学ではホルモンの減少によるものと考えられています。漢方では性ホルモンと関係の深い肝と腎の衰えを中心に考えます。
腎の働きを補う薬を補腎薬といい、性ホルモンの減少を止め、分泌を促進し、身体のホルモンバランスを整えます。すなわち漢方によるホルモン補充療法です。自分の力で自然に性ホルモンを分泌できるようサポートするので、身体に負担がなく、バランスを乱すことがありません。
また、肝の働きを補う薬は補血養肝薬とよばれ、皮膚の弾力を甦らせ保水力を高めて乾燥を阻止するとともに、皮膚の過敏性を減らしますので、皮膚の症状を改善しながら潤いのある肌に導きます。
肝と腎の薬は古来より内服美容薬としても重宝されてきました。


<漢方薬の例>
杞菊地黄丸、八仙丸、婦宝当帰膠など
(体質によっては違う漢方薬を使う場合があります。)

めまい、動悸、息切れ

めまい、動悸、息切れ

めまい、動悸、息切れは更年期の症状の中でもかなり多くの方々に見られます。頭が重く、足や下半身に力が入らなくて、ふわふわ、ふらふらしためまい、突然現れる動悸や息切れに苦しんでいるのに、病院では「異常なし」と言われ、納得がいかない方がよくみえます。
これらの症状は更年期に入り、女性ホルモンの急激な減少による自律神経の失調からくるものです。漢方では心と腎の働きの衰えから出る症状ととらえます。このような時には自律神経のバランスを整え、心と腎の機能を養う「養心安神薬」を薬を使います。

<漢方薬の例>
天王補心丹、牛黄清心丸など
(体質によっては違う漢方薬を使う場合があります。)