アトピー性皮膚炎
西洋医学の治療では、ステロイド剤や抗アレルギー剤を用いた対症療法を中心とした治療が
行われますが、注意学ではアレルゲンなどの外因と内因(アレルギー体質)の両面から治療が
行われます。外因が同じでもアレルギーを起こす人と起こさない人がいるのは、
その人の「体質」にあるという「内因」を重視する考え方です。
対症療法で一時的に症状が緩和されたとしても、アレルゲンに対して過剰な反応を起こす
根本的な体質を改善しなければ、根治することは出来ません。
個々の体質を見極め、本来そなわっている自然治癒力をうまく引き出しながら体質改善をして
いくというのが、中医学の基本的な方法です。
中医学では、皮膚のトラブルは「肺」の機能低下と考えられています。
中医学でいう「肺」は呼吸機能だけでなく、免疫機能や体液の代謝などの機能を司っています。
また「肺」は栄養を生化吸収する「脾」と密接な関係があり「脾は肺の母」と言われ、
胃腸機能が弱いと、粘膜や皮膚、気管支などに関連する「肺」に影響を与えます。
アトピー性皮膚炎に子供が多いのも、大人に比べて内臓が未発達で胃腸が弱いことが
原因の一つです。
また中高年や遺伝的な要因が大きい場合は、ホルモン系を司る「腎」の機能が低下している
ケースが多く見られます。
根治するためには「肺・脾・腎」の機能を高めることがポイントになります。
アトピー性皮膚炎の治療は、体質改善の根本治療が基本ですが、かゆみなどの苦痛を軽減しないと、
ホルモン剤などの強い薬に依存してしまう場合があるので、症状がひどいときには対症療法を、
症状が落ち着いている時には根本治療を行います。
[根本治療]
①肺脾両虚=肺と脾の働きが虚弱なタイプ
特に胃腸の弱い子供に多く見られ、食欲不振、下痢気味、風邪を引きやすいなどの症状があります。
治療は、低下した肺と胃腸の機能を補って体質を改善する「補肺益気健脾」がポイントです。
補中益気湯や衛益顆粒、六君子湯、参苓白朮散などが用いられます。
②肺腎両虚=肺と腎の働きが虚弱なタイプ
年配者に多く見られ、肌が乾燥しやすく、肌に白い粉をふいたような症状がああります。
治療は「肺腎双補」で、体に不足している潤いを補い、腎の機能を高める八仙丸、滋陰降火湯などが
用いられます。
[対症療法]
①湿熱証=胃腸が弱く、代謝が低下しているために体に余分な湿(水分)と熱がこもっているタイプ。
かゆみが強く、皮膚全体が赤く腫れ、熱を持っているのが特徴です。
治療は「清熱利湿」で体に停滞した湿と熱を取り除きます。炎症を抑える竜胆瀉肝湯や茵蔯蒿湯、
五行草などが用いられます。
②血虚血熱証=不規則な食生活、ストレス、胃腸機能の低下などが原因で、
栄養不足で血液が不足したり血行が停滞したりして、体に余分な熱がこもったタイプです。
皮膚が乾燥して白いカスが落ちる(脱屑)、患部が赤く熱がある、肌の色が黒ずむなどの症状が
みられます。
治療は「清熱補血」で、体にこもった熱を取り除き、不足した血液を補います。
温清飲や涼血清営顆粒などが用いられます。
③肝気鬱血証=アトピー性皮膚炎の期間が長い人や、ストレスに弱い人に多く見られ、気(エネルギー)の流れが停滞したタイプです。
イライラ、ストレスが溜まると症状が悪化し、不安感、不眠、かゆくて掻きむしるなどの症状が
見られます。
治療は「疏肝解鬱」で、停滞した気の流れを改善します。
精神を安定させて気の流れをスムーズにする加味逍遙散や、イライラや不眠を緩和する抑肝散などが
用いられます。
これらはほんの一例です。他にもたくさんの処方があり、使うお薬はその方の体質に合わせて選びます。 メール相談をご希望の方は問診表にお入りください